UMA・未確認生物

ビッグフット――59秒のフィルム、木彫りの“にせ足”、そして2026年に金庫から出てきた「1年前のフィルム」

UMA・未確認生物公開 2026年7月12日更新 2026年10月26日ザツレコ編集部
ビッグフット――59秒のフィルム、木彫りの“にせ足”、そして2026年に金庫から出てきた「1年前のフィルム」

世界一有名なUMA「ビッグフット」。1958年の足跡と1967年の59秒のフィルム、木彫りのにせ足の告白、FBIが調べた毛、クロクマ説、そして2026年に金庫から出てきた「1年前のフィルム」まで、事実と諸説を分けてたどります。

みなさんこんにちは、雑学レコードです。今日おとどけするのは、UMA、未確認生物の世界で、まちがいなく世界一有名な一体――「ビッグフット」の話です。北アメリカの深い森に住むとされる、身長2メートルをゆうに超える、毛むくじゃらの巨人。英語では「サスカッチ」とも呼ばれます。数えきれないほどの目撃談があり、足跡の石こう型が取られ、有名なフィルムまで残っている。それなのに、骨のかけら一つ、確かな標本一つ、いまだに見つかっていません。今日は、この森の巨人が「どうやって生まれ」「どう疑われ」「科学はいま何を言っているのか」を、確かな事実と、目撃証言と、いろいろな諸説を、ていねいに分けながらたどっていきます。そして2026年、あの有名なフィルムには、思わぬ「続き」が見つかりました。あっても無くても人生に影響しない、極上のムダ知識をインストールしていこう。

その名は「足跡」から生まれた

まずは名前の話から。ビッグフットという呼び名が世に出たのは、意外にも新しく、1958年のことです。舞台はアメリカ・カリフォルニア州北部、ブラフ・クリーク(Bluff Creek)という森の奥。道路の工事現場で働いていたジェリー・クルー(Jerry Crew)という男性が、自分のブルドーザーのまわりに、巨大な裸足の足跡がぐるりと残されているのを見つけます。長さはおよそ40センチ。人間のものとは、とても思えない大きさでした。クルーはその足跡の石こう型を取り、地元紙「ハンボルト・タイムズ(Humboldt Times)」がこれを報じます。このとき記事が使った見出しの言葉が「ビッグフット」――大きな足。これが、のちに世界じゅうへ広まる呼び名の始まりでした。

ただし、「大きな毛むくじゃらの人型生物」という話そのものは、これよりずっと古くから北アメリカの先住民に伝わっていました。もう一つの呼び名「サスカッチ(Sasquatch)」は、1920年代から30年代にかけて、カナダ・ブリティッシュコロンビア州の教師ジョン・W・バーンズ(J.W. Burns)が、地元の先住民が使っていた言葉「サスケッツ」をもとに広めたもの、とされています。森の奥に、人でも獣でもない大きな者がいる――そういう言い伝えは、土地の物語として脈々とあったわけですね。1958年に起きたのは、「生物の発見」ではなく、「呼び名の誕生」だった。ここは、分けて押さえておきたいところです。

世界一有名な59秒のフィルム

ビッグフットを一躍スターにしたのが、1967年のある短いフィルムです。撮ったのはロジャー・パターソン(Roger Patterson)とロバート・ギムリン(Robert Gimlin)という二人組。奇しくも場所は、さきほどと同じブラフ・クリークでした。同年10月20日の昼すぎ、二人が馬に乗って川ぞいを進んでいたとき、川原に、毛むくじゃらの巨大な影が立っていた――彼らはとっさに16ミリカメラを回します。

残されたフィルムは、わずか59秒ほど、コマ数にして954コマ。そこには、全身をこげ茶色の毛におおわれた大きな影が、こちらをちらりと振り返りながら、悠々と森へ歩き去っていく姿が映っています。研究者たちはこの被写体を、その歩き方や体つきからメスと見て、パターソンの名にちなみ「パティ(Patty)」という愛称をつけました。手ぶれのする粗い映像なのに、その堂々とした歩きっぷりは、半世紀以上たったいまも「本物ではないか」「いや作り物だ」と、論争を呼びつづけています。撮影地は洪水による草木の変化で長らく分からなくなっていましたが、2011年になってようやく特定された、というおまけまでついています。

あれは着ぐるみだったのか

もちろん、「あんなものは作り物だ」という声も、早くからありました。パターソンの知人だったボブ・ヘイロニマス(Bob Heironimus)という人物は、のちに「あのスーツを着ていたのは自分だ」と告白します。1000ドルで着ぐるみを着る約束をしたが、結局お金はもらえなかった、と。ただし彼がこれを語りだしたのは事件から30年以上もあとのことで、証言の食いちがいも指摘され、決定的な証拠にはなっていません。

もう一つの大きな「タネ明かし」は、足跡のほうにやってきました。2002年、レイ・ウォレス(Ray Wallace)という男性が84歳で亡くなると、その家族が「ビッグフットの正体は、うちの父だった」と語りだしたのです。あの1958年のブラフ・クリークの足跡は、ウォレスが木で彫った大きな「にせ足」を押しつけてつけた、いたずらだった――家族はそう明かし、実際に木彫りの足も公開されました。

ところが、話はそれで終わりませんでした。研究者のなかには、「その木の足の形は、現場で取られた石こう型とは一致しない」「ビッグフットのような話は、ウォレスが有名になるずっと前、19世紀からある」と反論する人もいます。アイダホ州立大学で解剖学を教えるジェフ・メルドラム(Jeff Meldrum)教授などは、木彫りの足だけでは、これまで集まった多様な足跡のすべては説明できない、と主張しています。にせ物だと分かったものは、たしかにある。でも、それで「すべてがにせ物」と言い切れるかは、また別の話――ここが、この謎のややこしくも面白いところです。あくまで、事実として確定しているのは「作り物だと明かされた例がある」ことであって、「すべてが作り物だと証明された」わけではない。そこは冷静に分けておきましょう。

2026年、金庫から出てきた「1年前のフィルム」

2026年3月12日、アメリカ・テキサス州オースティンの映画祭「サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)」で、1本のドキュメンタリー映画が初上映されました。マーク・エヴァンス(Marq Evans)監督の『キャプチャリング・ビッグフット(Capturing Bigfoot)』です。この映画が持ち出したのは、あのパターソン=ギムリン・フィルムより「1年前」に撮られたとされる、もう1本のフィルムでした。

きっかけは2024年6月。テレサ・ブルックス(Teresa Brooks)という女性から、監督のもとに1通のメールが届きます。亡くなった父ノーム・ジョンソン(Norm Johnson)の遺品の金庫から、50年以上封をされたままの16ミリフィルムの缶が出てきた、というのです。ジョンソンは航空機メーカー、ボーイングのフィルム部門で働いていた人物で、兄弟を通じてパターソンたちとつながりがあったとされます。監督がこれをデジタル化すると、フィルムの刻印から1966年に作られたとみられる、およそ40秒の映像が見つかりました。似たような森の中を、ビッグフットらしき姿が歩いていく。監督はこれを、本番の撮影に向けた「リハーサル」だったと見ています。

映画には、パターソンの長男クリント・パターソン(Clint Patterson)さんも登場し、「母から、あれはでっちあげだったと聞いた」「父が家の裏で、ドラム缶の中のスーツを燃やすのを見た」と語ります。パターソン本人は1972年に病気で亡くなっていて、もう話を聞くことはできません。監督は、映像に生成AIは使っていないと強調しています。いっぽう、アメリカのビッグフット研究団体BFROの代表マット・マネーメーカー(Matt Moneymaker)氏は「フィルムそのものが、あらゆる否定を否定している」と反論し、ファンのあいだでも受けとめ方は割れました。新しいフィルムが「1966年のリハーサル」だという見立ては、いまのところ監督の側の主張で、第三者による検証はこれからです。映画は2026年10月20日にアメリカで公開と配信が始まる予定で、半世紀以上つづく論争は、まだしばらく終わりそうにありません。

FBIも、ビッグフットの毛を調べていた

少し意外な事実をひとつ。あのFBI――アメリカ連邦捜査局が、まじめにビッグフットの「毛」を調べていた記録が残っています。1976年、ビッグフット研究の情報センターを運営していたピーター・バーン(Peter Byrne)という人物が、森で見つけた「15本ほどの毛のついた皮のかけら」をFBIに送り、「これが何の動物か調べてほしい」と依頼したのです。

FBIは、ふだん一般人のこうした依頼は受けないものの、「研究と科学的探究のため」と例外あつかいで分析を引き受けます。そして1977年のはじめ、毛を送りかえすとともに、こう結論を伝えました。その毛は「シカの仲間(deer family)のもの」だ、と。この一件の記録は長らく眠っていましたが、2019年6月、FBIが「ビッグフット・ファイル」として公開したことで、あらためて話題になりました。政府機関ですら関わっていた、という事実は、なんだかワクワクします。けれどその中身は、じつに地味な――シカでした、という答えだったわけです。

正体は、森のクマかもしれない

では、科学はいま、ビッグフットをどう見ているのでしょう。近年、とても分かりやすい研究が発表されています。データ科学者のフロー・フォクソン(Floe Foxon)さんは2023年、アメリカとカナダの広い範囲で、ビッグフットの目撃件数と、ある動物の生息数とを比べました。その動物とは――アメリカグマ、つまりクロクマです。すると、クロクマが多い地域ほど、ビッグフットの目撃も多い、というはっきりした関係が見つかりました。クマがおよそ1000頭増えるごとに、目撃が4パーセントほど増える、という計算です。後ろ足で立ち上がったクマの姿は、たしかに、毛むくじゃらの巨人に見えてもおかしくありません。

決め手になる物証も、やはり出ていません。2014年には、オックスフォード大学のブライアン・サイクス(Bryan Sykes)教授らが、世界じゅうから集めた「ビッグフットやイエティのもの」とされる毛のサンプルを、最新のDNA分析にかけました。結果、その正体は、クマ、オオカミ、アライグマ、ウマ、ウシ、イヌ、そして人間――つまり、すべて「すでに知られた動物」でした。未知の霊長類を示すものは、ただの一つもなかったのです。骨も、死体も、確実な標本も、いまだにゼロ。これが、いまの科学のいつわらざる現在地です。もちろん「まだ見つかっていない」と「いない」はイコールではありませんが、証拠の天びんは、いまのところ大きくかたむいています。

2026年に入っても、「ついに証拠が見つかった」という話は絶えません。7月には、アメリカ・ミシガン州で、ビッグフット・ハンターを名乗る男性が「森で死体を見つけ、DNAを調べたら、およそ6割がネアンデルタール人だった」と主張し、地元のテレビ局が報じました。ただ、検査結果の報告書も、外部の研究者による確認も示されていません。こうした「大発見」の多くは、検証の段階で消えていくというのが、これまでのパターンです。

それでも、人は森に巨人を見る

森の巨人ビッグフットの物語を、もういちど整理しておきましょう。呼び名が生まれたのは1958年、有名なフィルムが撮られたのは1967年。そして2026年には、その「1年前のリハーサル」とされるフィルムまで現れました。数えきれない目撃談と足跡が積みかさなり、FBIまでが毛を調べ、いまも熱心な研究者や番組が正体を追いつづけています。いっぽうで、はっきり「作り物だった」と明かされたものもあり、科学はその多くを「クマの見まちがい」や「既知の動物」で説明できると言います。決定的な骨のかけら一つ、いまだに出ていない。

2026年のいまも、その人気は衰えるどころか広がっています。ニューヨークではビッグフットが主役のミュージカルが上演され、スマートフォンの絵文字にまで仲間入り。アメリカ各地の小さな町では、ビッグフットの名を冠したお祭りが、この10年ほどで何十も生まれました。シカゴ大学の研究者ジェシカ・ランドー(Jessica Landau)さんは、ビッグフットが、取り残されたと感じている地方の町にとって「地元の誇り」の象徴にもなっていると指摘しています。

それでも、この巨人が消えないのは、なぜでしょう。北アメリカの森は、いまも人がめったに足を踏み入れない広さで残っています。その暗がりの奥に、「まだ人間の知らない何かがいるかもしれない」と思いたくなる気持ちは、きっと誰の心にもあるものです。ビッグフットは、いるのか、いないのか。その答えよりも、深い森を前にしたときの、あのワクワクとゾクッが同居する感じこそ、この物語がずっと愛されてきた理由なのかもしれません。あっても無くても人生に影響のない無駄知識。それではまた、次の雑学でお会いしましょう。

出典・参考情報

  • [A] FBI Records Vault/The Washington Post「He asked the FBI to analyze Bigfoot hair 40 years ago」(2019年6月)=FBIビッグフット・ファイル、毛は「deer family」
  • [A] Floe Foxon「If it's there, could it be a bear?(bioRxiv)」/phys.org 報道(2023年)=目撃とクロクマ生息数の相関
  • [B] Wikipedia「Patterson–Gimlin film」「Raymond L. Wallace」「Bigfoot」「Sasquatch」
  • [B] The Seattle Times「Lovable trickster created a monster with Bigfoot hoax」(2002年12月)=ウォレス家の告白
  • [B] Mental Floss「The Hoax That Led to the Word 'Bigfoot'」=呼称の由来
  • [B] Bryan Sykes ほか(Proceedings of the Royal Society B, 2014)=毛サンプルのDNA分析
  • [C] BFRO(Bigfoot Field Researchers Organization)目撃データベース(=目撃の集積例として参照)
  • [B] Wikipedia「Capturing Bigfoot」(Austin Chronicle・People・The Wall Street Journal・Skeptical Inquirer の評を含む)(2026年)
  • [B] Yahoo Entertainment「The Famed 1967 Bigfoot Film Was an 'Incredible Hoax,' Says the Director of a Groundbreaking New Documentary」(2026年3月)
  • [B] The Numbers「Capturing Bigfoot (2026)」=米国公開・配信日(2026年10月20日)
  • [B] NPR「There have been new Bigfoot sightings, on-screen and off-Broadway」(2026年4月22日)
  • [B] WDIV ClickOnDetroit「Man claims he found the first scientifically verified Bigfoot specimen」(2026年7月5日)=本人の主張の報道。検証なし

信頼度 A=一次/公的、B=定評メディア・専門書、C=個人発信。事実・証言・諸説を区別して記載。

改定ログ:2026年10月18日 2026年3月に初上映されたドキュメンタリー『キャプチャリング・ビッグフット』と、そこで示された「1966年のリハーサル」とされるフィルムの節を追加。2026年7月のミシガン州の「死体のDNA」の主張(未検証)と、2026年のビッグフット人気(ミュージカル・絵文字・各地の祭り)を追記。導入の結びを改め、出典を5件追加。

この記事は事実と説・伝承を区別して記述しています。

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